図鑑の原文
強者に挑戦して敗れたウルフィが、同じく悔しさを抱えたまま倒れた仲間たちの魂を吸収し、復讐の欲望を原動力として行動している。
— 図鑑 · 基本復讐の烈炎は虹色天象に駆られてますます猛り狂い、ウルファントムの体躯を焦がす。体を離れた魂のこうべは我にもなく雄たけびを上げ、心が凍てつくような鋭い威圧を全身から放つ。
— 図鑑 · 虹色生態特性
3つの頭はいつも意見が合わず、どちらの足から踏み出すかといった些細なことでも言い争う
— 生態特性「終わらないケンカ」命が尽きても魂はさらに強くなりたいという思いに囚われているのは幸せ、それとも不幸?
— 生態特性「囚われの魂」物語の中のウルファントム
意気消沈するウルファントムは、強者の戦いを求めているなら昼間に出直せと告げた。夜ここにいる自分たちのような老いぼれを相手にしても、得るものはないというのだ。だがそれでも挑戦するというのなら、相手をしてやってもいいという。
— 会話の要約「初めての挑戦」ならよかった。私の研究対象はオオカミタイプで、
今は最も神秘的な「ウルファントム」について調べているんだ。
ウルフィの群れから生まれるらしい。私もウルフィを何匹か飼っているんだが、非常に好戦的でね。
— 会話 · 話し手:ナイトウルフウルファントムのことを知れば知るほど、本当に不思議なアニモだと
感じる。敗北の悔しさの炎から生まれ、絶え間ない敗北の中で何度も
自分自身に打ち勝ち、ついには無敵になるまで戦い続けるのだから。
— 会話 · 話し手:ナイトウルフグレーメインは、ウルフィ種族の中でも屈指の伝説的な強者だった。彼の体からは常に、嗅ぐ者を酔わせるような炎の香りが漂っていた。それは数え切れぬ戦闘を経て身についたオーラであり、まるで毛の一本一本に燃え盛る闘志が宿っているかのようだった。
娘が生まれた日、グレーメインは巣穴の前に立ち、彼方にそびえる狼牙千樹を見やり、誓いを立てた。
「いつか俺は、あの樹に満開の花を咲かせてやる。その時、娘も知るだろう。自分の父親が最強のウルファイターなのだと」
しかし、グレーメインには一つだけ致命的な欠点があった。
極めつきの方向音痴なのだ。
挑戦に出かけるたび、彼が戦闘に費やす時間は旅全体の20分の1ほどで、残りのほとんどは道を探すことに費やされていた。かつて北の境にいるグレイシャーに挑んだ時には、なんと3か月も遠回りした挙げ句、最後にはうっかりボーンスキー種族の領地へ迷い込み、突然のことに驚いた彼らを逃げ惑わせた。また、獲物を追っているうちにポプリ郷の境までたどり着き、希少な香料源に目をつけた調香師たちから、三日三晩追い回されたこともある。
だが、グレーメインは「道に迷うのも修行の一環だ」と考え、一度も問題にしたことはなかった。娘にも常々、こう語っていた。
「俺は道に迷うたび、思わぬ相手と出会い、思いもよらぬ収穫を得てきた」
娘は成長するにつれ、父親の帰りが遅いことにも慣れ、戦闘で負傷していないかと心配することもなくなった。それよりも彼女が心配していたのは、父が迷いに迷って世界の果てまで行ってしまい、そのまま帰れなくなることだった。
その日、グレーメインは娘に言った。
「狼牙千樹へ行ってくる。イージュのように狼魂樹に認められ、花を咲かせることができたら帰ってくる」
グレーメインは旅立った。
しかも今回は、道に迷うことなく狼牙千樹へたどり着き、枯れ果てた狼魂樹の前に立った。
ところが、花は咲かなかった。
彼がどれほど闘志を燃やしても、枯れた樹は何の反応も示さなかった。木々は無言のまま、まるで彼の弱さをあざ笑うかのように立ち尽くしていた。
「まだ強さが足りなかったか……」
そう言って、彼は待ち始めた。狼牙千樹は、イージュが現れると炎のごとく咲き乱れる——そう聞いたことがあったからだ。
そこに希望を見いだした。イージュにできたのなら、自分にもできるはずだ、と。
そして、イージュに挑んでは敗れた。
「俺が最強のウルファイターになれば、狼魂樹は認めてくれるはずだ」
彼はその考えを、かたくなに信じ続けた。
しかし、彼は知らなかった。
狼魂樹が「最強」のために花を咲かせたことなど、一度もないということを。
幾日、幾年と時が過ぎ、グレーメインは血気盛んな壮年の狼から、灰色の毛をまとった老狼へと変わっていた。度重なる失敗によって闘志は少しずつすり減り、その炎も、枯れた狼魂樹の下で次第に小さくなっていった。
ある日、グレーメインは、自分が狼牙千樹のもとから動けなくなっていることに気づいた。
目に見えない鎖が、その脚に巻きついていた。
それは、己が己にかけた枷だった。「必ず最強になる」という執着と、「今さら娘に顔向けできない」という悔恨——
そうして、彼はウルファントムになり果てた。
もう道に迷うことはない。どこにも行けないからだ。
彼は狼牙千樹に囚われ、枯れた狼魂樹とともに朽ちていくばかりだった。時折、娘のことを思い出す。自分の尻尾を追いかけて、くるくると回っていた幼い彼女。「お父さん、今日もどこかで迷ってた?」と尋ねる、くりくりとした彼女の瞳を——
「家に……帰る……」
ウルファントムとなったグレーメインは呟いた。
「俺はまだ、戦い続けねばならんのか?」
彼は知らない。
娘が彼を責めたことなど、一度もない。
あのワンタは今も、枯れた森の外で待ち続けている。父親はただの「迷子の闘士」で、家へ帰る道を見つけられずにいるだけなのだと、そう信じながら。
— アイテム「ソウルダスト・ウルファントム」ジンはかつて、ワンタ種族を率いるウルフィ・オメガだった。
若かりし頃の彼は、誰よりも威勢のいいワンタだった。毎日のように先代の尻尾を追いかけては戦いを挑み、転んで口の中まで泥だらけになっても、何度でも立ち上がった。そしてある日、ついに勝利を収めた。先代は彼を一瞥すると、背を向けて山頂を下っていった。
「勝った」ジンは自分に言い聞かせた。「俺が最強だ」
だが、すぐに気づいた。最強になれば終わりなのではなく、その先にはさらなる挑戦が待っているのだと。
若いワンタたちは、自分のほうが強いと証明するため、次々と挑戦してきた。ジンはそのたびに彼らを退けたが、勝利を重ねるうちに、わずかな疲れを感じるようになった。
「俺は老いたのか?」
彼の炎は今なお激しく燃え、力も衰えてはいなかった。しかし、心は少しずつ弱り始めていた。彼は敗北を恐れるようになった。敗北そのものが怖いのではない。負けることが、「俺は老いた。もう駄目だ」という証しになるのが怖かったのだ。
その恐れが頂点に達したのは、若いワンタに敗れた日だった。
その日、地面に倒れたジンは、勝利を渇望する目で自分を見下ろす若いウルフィを見つめた。そして、先代の尻尾を追いかけ回していた、かつての自分を思い出した。
「俺の負けだ」ジンは言った。「ボスの座はお前のものだ」
肩の荷が下りたような安堵を覚える一方で、大きな喪失感にも襲われた。これから自分に何ができるのか、分からなかった。あまりにも長くボスを務め、狼たちから仰ぎ見られることに慣れきっていたため、普通の狼としてどう生きればいいのかを忘れていたのだ。
「俺は狼牙千樹へ行くべきなのかもしれん……」ジンは呟いた。
「どうせ重荷を下ろしたんだ……最後にもう一度、思い切り暴れてみるか?」
彼はイージュに挑んだ。
そして、すべてが終わった。
イージュは、たった一撃でジンを倒した。ジンは狼牙千樹の地に横たわり、枯れ果てた狼魂樹を見つめながら、不意に笑った。
「俺も本当に老いたな。立ち上がる力さえ残ってねぇ——」
しかし、かつてジンに敗れた先代ボスは、山を下りた後も「不老闘士」としてロウガ峰にその名を残していた。
先代は山を離れてからも、ロウガ峰のあちこちに足跡を刻んでいた。若いワンタたちに戦い方を教え、傷ついたワンタが家へ帰るのを助け、ボーンスキー種族の襲撃をたった一匹で退けたことさえあった。
「彼は老いたんじゃない。戦い方を変えただけだ」彼に助けられたワンタたちは、そう語っていた。
だが、ジンはそのことを知らなかった。彼は狼牙千樹に囚われ、ウルファントムへと変わってしまった。その脚は「老い」という鎖に縛られ、心は「無力感」という塵に覆われていた。
「俺は何もできぬほど老いてしまった」ジンは嘆いた。
山の麓で今も炎が燃え続けていることを、彼は知らなかった。
山を下りることは終わりではなく、火を受け継ぐ者たちへ、その炎を託す始まりだったのかもしれない。
— アイテム「ソウルダスト・年老いたウルファントム」赤炎はワンタ種族で唯一「百勝」伝説を残したウルフィだ。
彼は群れを離れて生きる一匹狼だった。家族も仲間もなく、決して引っ込めることのない鋭い爪と、戦いを求め続ける心だけを持っていた。
百戦百勝。
この記録により、赤炎は多くのワンタたちの憧れとなった。彼らは赤炎の戦いを語り継ぎ、その一挙一動をまねながら、いつか赤炎のように強くなることを夢見ていた。
だが、赤炎は満たされていなかった。
「勝つのは簡単すぎる」彼は自分を慕うワンタにそう語ったことがある。「俺が求めているのは勝利じゃない。戦いそのものだ」
そのワンタにはこの言葉の意味が分からなかった。ただ、赤炎を見つめる憧れの眼差しは、いっそう強くなった。
イージュが現れるまでは。
あの日、赤炎は初めて敗北を味わった。イージュはたった一撃で、赤炎を地面に叩きつけた。
赤炎は立ち上がり、再び突進した。だが、また倒された。再び立ち上がっては、また倒された……
その一戦で、赤炎は7回敗れた。
「あり得ん…」赤炎は狼牙千樹の下に横たわり、枯れた狼魂樹を眺めながら言った。「俺は無敵で、百勝闘士のはずだ……」
彼はイージュへの挑戦に固執していった。1回、2回、3回……どれもが敗北に終わった。彼が誇っていた速さはイージュの前では何の意味もなさず、相手をバッタバッタと倒していた力はイージュの前ではそよ風のように無力だった。
10回目に敗北した時、赤炎は己を疑い始めた。
50回目に敗北した時には戦うのが恐ろしくなってきた。
99回目の敗北で完全に闘志を失った。
100回目に敗れた日、赤炎は狼牙千樹の中央に立ち、天を仰いで長く吠えた。それは戦いの雄叫びではなく、悲痛な嘆きだった。
「俺は負けた、完膚なきまでに。俺は百勝闘士ではなく、百敗闘士だ」
その瞬間、赤炎の足に一本の鎖が現れた。その鎖の名は「敗北への恐れ」、そして「完璧ではない自分を受け入れられない心」。
こうして赤炎はウルファントムになった。
もう誰にも挑まず、誰からの挑戦も受けない。ただ黙ったまま、狼牙千樹の片隅に立ち尽くしている。枯れた木のように、冷たい石のように……
「百勝闘士は死んだ」、名を尋ねる狼が現れるたび、赤炎はそう答えた。「今いるのは、百敗闘士だけだ」
だが彼の心の中には今もある声がこだましていた。昔、自分を崇拝していたワンタの言葉だ。
「あなたの新たな勝利の物語が聞けるのを心の底から楽しみにしています!」
赤炎は目を閉じた。新たな勝利の物語……そんなものがまだあり得るだろうか?
— アイテム「ソウルダスト・寡黙なウルファントム」名前のある個体年老いたウルファントム, 寡黙なウルファントム